長野県木曾観測所補修工事が、6月19日〜20日に行なわれました。
19日は梅雨にも関わらず、青空ものぞく絶好のメンテナンス日和と
なり、技官1名、教官2名、学生6名の計9名が現地入りし、昼過ぎ
から作業に取り掛かりました。
豊川から車で約3時間で現地に到着。研究室の電波望遠鏡がある場所
は、東大木曾観測所と隣接しています。
IPS(惑星間空間シンチレーション)電波望遠鏡は327MHz
(UHF帯)でパルサーやクエサーなどの電波星からの電波を受信し
ており、パラボラ面はピアノ線を3cm間隔で900本張ったもので
成っています。開口面積は野辺山の45mよりも大きい、2千m^2の
巨大なものです。今回、行なわれた作業は、シリンドリカル・パラボ
ラ面に張られた、直径0.3mmのこれらのステンレス線900本の
張力を上げるという根気のいる作業です。細くて鋭利なピアノ線で指
先を血で染めている人や高所恐怖症の人もいて、結構骨の折れる作業
でしたが、予想より早く夕方17時には作業が完了しました。
ピアノ線を張り直す風景−1<53Kb>
ピアノ線を張り直す風景−2<93Kb>
ピアノ線を張り直す風景−3<54Kb>
電波星からの受信データから、S/N比が25%も上昇したことが
分かり、今回の作業は成功に終りました。仕事のあとの一杯が、
これまた格別でした。
19日の晩は、東大の木曾観測所へ泊まりました。ここの宿泊棟は,
全て個室で風呂や食堂もあり全国の天文台の中でも一番生活し易
い環境だそうです。当日は、夜半から激晴れになり、食堂で東大
の方々と駄弁っていた我々は、彼らの赤外CCD観測の前に
105cmシュミット望遠鏡をいろいろと見物させて貰うことにし
ました。
空は,満天の天の川、さすがにに3ツ星級の漆黒の夜空でした。
ドームにはいり105cmシュミットと対面。
サブ望遠鏡には20cm屈折がついておりCCD追尾をしています。
クランプをフリーにし、2階へ上がり補正板のカバーを外すと
まさしく105cmの怪物補正板が現れました。
観測される2人の方々はその間、赤外CCDカメラに液体窒素を
詰め込んだり、鏡筒内部にフィルターを装填したり忙しそうに動
き周っています。
現在、乾板撮影は殆ど使われていないそうですが、一通りの作業
も説明して貰ったり、普段見れない、57トンの巨体を支える地
下室なんかも見せて戴きました。
その後、お礼に我々が、玄関にあったMT−160を引張出して、
ヘール・ボップ彗星などを導入して観望会を開きました。
21日は御嶽山、剣ヶ峰(標高3063m)を4人で登頂してきました。
登山中、下山する人とすれ違った他はひとっこ一人居ず、
天気にも恵まれ、素晴らしい景色を満喫してきました。今年は
雪が多く、上の方はまだかなりの雪が残っていました。